2025年3月21日に文化庁で開催された文化審議会にて、附属図書館が所蔵する「宮良殿内文庫(みやらどぅんちぶんこ)」(宮良殿内家関係資料)の348点が国の重要文化財に指定される運びとなりました。
「宮良殿内文庫」は、近世の八重山地域において代々頭役(かしらやく:行政区の長)を輩出した宮良家に伝来した資料群です。「宮良殿内(みやらどぅんち/めーらどぅぬず)」とは、宮良家に対する尊称、もしくはその屋敷のことを指します。八重山の行政に関する文書や首里王府との往復文書のほか、儒教関係の漢籍資料や琉歌集?和歌集など、教養に係る資料も含まれており、八重山の歴史や当時の行政の様子、八重山士族の生活?文化の実態を知ることができます。
当該資料群は、1962年に当時の当主である宮良當智氏の「広く研究に役立ててもらいたい」という意向により、附属図書館へ寄贈されました。1997年には附属図書館の所蔵資料では初となるデジタル公開を行い、現在稼働中の「琉球?沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ」にて一部資料のデジタル画像を、解説や翻刻文等を付した上で公開しています。
○「宮良殿内文庫」の概要(琉球?沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ)
https://shimuchi.lib.u-ryukyu.ac.jp/collection/miyara/about
○附属図書館公式ウェブサイトでのお知らせ
https://www.lib.u-ryukyu.ac.jp/info/17226
【重要文化財指定の答申に係る学長コメント】
この度、本学附属図書館が所蔵する「宮良殿内家関係資料」が、国指定重要文化財(美術工芸品)の「歴史資料の部」にて指定されることにつきまして、大変嬉しく思います。
「宮良殿内家関係資料」は、近世の八重山地域において行政のトップを務めた宮良家に伝来した資料群で、1962年に当時のご当主である宮良當智氏より本学へ寄贈いただきました。長年にわたり、琉球沖縄の歴史研究における基礎資料として、研究?活用が進められてきました。
本学は、「地域とともに豊かな未来社会をデザインする大学」として、この島々に残されてきた「知識」を継承し、地域社会へと還元することを大学の使命と捉えています。
多くの皆さまのご協力を得ながら、今後とも、保存?教育普及に努めていきたいと考えています。
国立大学法人琉球大学
学長 西田 睦
【重要文化財指定の答申に係る附属図書館長コメント】
当館の所蔵する「宮良殿内家関係資料」(宮良殿内文庫)が、このほど国指定の重要文化財に指定されることとなり、大変光栄に存じます。
「宮良殿内」とは、代々八重山の「頭役」を輩出した宮良家に対する尊称で、その資料群には18世紀後半以降の八重山の行政や社会に係る貴重な史料が多数含まれています。沖縄研究への多大な貢献は言うまでもなく、当館での公開事業においても重要な役割を果たしてきた資料群です。
1997年に当館が初めてデジタル化したのが、この「宮良殿内文庫」でした。また、2011年と2017年の2度、石垣島にて当館の学外企画展を開催し、宮良殿内文庫の里帰り展示を実現しております。当館として大変思い入れの強い資料が、この度の指定を受けたことに、深い感慨を感じております。
引き続きデジタルとリアルの両面から、地域の皆さまへ当館の文化資源を「沖縄の宝」としてお届けできるよう、これまで以上に励んでまいります。今後とも、宮良殿内家関係資料の保存?公開事業にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
琉球大学附属図書館長
東矢 光代