2025年3月27日に新潟大学五十嵐キャンパスにて日本農作業学会春季大会が開催され、農学部4年生(受賞当時)の當間弓月さんが卒業研究で取り組んだ「畜舎管理における女性農業者の作業負荷を軽減する除糞専用道具の開発」を発表し、優秀学生賞を受賞しました。この研究は、学内における令和6年度「地域共創型学生プロジェクト(ちゅらプロ)」の支援を受け、沖縄県の畜産農家の生産現場で働く女性作業者の労働環境の改善の課題に取り組み、女性が扱える除糞(ボロだし)専用器具を総合技術部の技術職員と共同で開発しました。
開発した専用器具を用いた除糞(ボロだし)の様子
<當間さんのコメント>
卒業研究では、本土よりも家畜の経営規模が小さく、飼養管理の機械化が進んでいない沖縄県の肉用牛農家の、特に女性作業者の課題解決に取り組みました。多くの生産現場では、手作業で牛房内の除糞作業を行う際に使用する道具が男性使用を前提とした道具であり、女性にとっては道具の使いにくさによる肉体的負荷は極めて大きいです。沖縄県内の畜産農家の除糞方法の実態を調査し、女性が手作業で除糞を行う際の作業負荷を軽減する専用道具の開発に取り組みました。使いやすいという感覚を実際にモノとして形にするのは決して容易ではありませんでしたが、工学部附属工作工場、フィールドセンター、動物共生学研究室、家畜管理学研究室の先生方および学生の皆様の協力のもと、日本農作業学会にて素敵な賞をいただくことができました。心より感謝申し上げます。 今回の受賞を励みに、今後も農家に役立つ研究を継続して進めて参りたい所存です。改めまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
<波平准教授(指導教員)のコメント>
昨今、全ての現場で流行っているDXやスマート化が進められる中、農家である自分自身の経験から現場で苦労して毎日働いている女性作業者の課題を自ら抽出し、その解決に総合技術部の技術職員と一緒に考え、何度も何度も試作を繰り返し完成型を目指す「もの作り」がとても素晴らしかったです。全ての労働の基礎?基本である「人でしかできない作業」を改めて見直すきっかけになり、新たなものを生み出す共創力を学生から私も学ぶことができました。
授賞式の写真(當間弓月さんは右から2番目)
ポスター発表